父のDV、シングルマザー……辛酸を乗り越え父を許すまで 2014.02.21 Hさん(40代・女性) Tweet この記事は、隔月発刊の機関誌「ザ・伝道」第200号に掲載されている体験談の一部を転載し、編集を加えたものです。 漬物で飢えをしのいだ中学校時代 中学校2年生の春、私たち家族は、父の仕事の都合で引っ越すことになりました。調理師の父が、仕事を転々としたのち、居酒屋を始めることになったのです。 母は、私が3歳のころ、父と離婚して家を出ていったので、家族といっても父と2つ下の弟と私の3人です。 引っ越し先の狭いアパートには、風呂も電話もありません。転校後、担任からクラスの電話連絡網を渡されると、私の番号のところだけが空欄でした。 「恥ずかしい!電話がないなんて、うちだけだ!」 ご飯のおかずはいつもキュウリの漬物だけ。幸い学校で給食が出たので、私たち姉弟は、それだけを楽しみに毎日学校に通いました。 父の恐ろしい形相 幼いころから父の暴力に怯えながら育った私たちは、父を”アイツ”と呼んで、いつも2人で家を出る相談ばかりしていました。 父の暴力は、私たちが物心ついてすぐのころから始まりました。父は怒ると、木刀のようなもので容赦なく私たちを叩きました。 ある時、お金を盗んだと疑われ、めった打ちにされたことがありました。私は頭から滴り落ちる血をぬぐうことすらできず、父の許しを請うために、なけなしの小遣いを差し出しました。 「そんなんで、足りるか!」 そのときの父の恐ろしい形相は、深く私の心に焼きつきました。 結婚、出産、そして転機が訪れて…… 結局、居酒屋はたちゆかず、父は再び転職。弟は、中学校を卒業すると、ある日突然、黙って家を出ていきました。私も、卒業目前で高校を中退し、友人とルームシェアをして暮らしました。 19歳のとき、別の友人の紹介で結婚、3年後には長女・Rを出産しました。出産の翌年の1992年、転機は訪れます。ある日、高校時代からの親友・Sさんの家に遊びにいくと、背表紙に「大川隆法」と書かれたたくさんの書籍が、大切そうに並べられているのが目に留まりました。 「これ、何?私に貸して!読んでみたい!」 私はSさんに何冊かを借りて帰宅し、さっそく大川隆法先生の『愛の原点』という書籍を開いてみました。 「愛の意味とは、結局のところ、本来、一つであったものが、お互いを呼び合い、結びつけ合い、さらに大きな幸福を生み出そうとしていくところにあるのではないかと思います」 それまで、一度も読んだこともないような言葉の響き……。なぜだか分かりませんが、私は感動のあまり、声をあげて泣いていました。 Sさんに連絡すると、数日後、幸福の科学の支部まで連れていってくれ、私は、その場で信者となったのです。 シングルマザーの孤独 娘が3歳になったころ、私は離婚してシングルマザーになりました。夫が手を上げたから、と、私から一方的に離婚を申し出たのです。私は父の虐待が原因で、電車などで近くに男性が立つだけで、「早くあっちへ行って!」と思うほどの男性恐怖症でした。 離婚したあと、一緒に暮らした男性は、とても優しい人でした。けれど、少しして、彼が薬物中毒だと分かったのです。ある幸福の科学の友人が心配して、「Hさん一人に働かせるなんて、そんな関係は絶対におかしい」と一喝してくれ、私は初めて目が覚めたのです。 29歳のとき、その男性との間に長男・Tを授かりましたが、1歳になる前に、泣く泣くその男性とも別れました。 そんな私にとって、幸福の科学の支部のみなさんのあたたかさは救いでした。毎月ポストに月刊誌を入れてくれる近所の女性。父親のいないTをいつも肩車してくれる中堅の男性。多くの愛に支えられていました。 “アイツ”に感謝なんて無理! 私は、結婚のことも、子供たちのことも、一切、父には知らせませんでした。 息子が2、3歳のころの、ある日。突然、父が私の家を訪ねてきました。私はとても緊張し、まともに父の顔を見られませんでした。会話らしい会話もなく、帰り際、父は私の連絡先を手帳に書き留め、そそくさと帰っていきました。 大川隆法先生は、「人は、天上界で自分の人生計画を立て、親になる人とも約束して生まれてくる」と、説かれています。 私は、「そうなんだ!」と驚きつつも、一方で、「あんな酷い人と約束してきたなんてありえない。離婚したのも何もかも、”アイツ”のせいだ」と、心から納得はできませんでした。 私は友人に、「心が楽になるよ」と勧められ、幸福の科学の総本山・正心館で、「両親に対する反省と感謝」の研修を受けることにしました。研修では、両親からしてもらったことを、一つひとつ思い出し、感謝を深めていきます。周りの人が涙をすすり、嗚咽して感謝するなか、私は何も思い出すことも、感謝することもできませんでした。 「父のことも、母のことも、何も思い出せない。やっぱり両親に感謝するなんて、私には無理だ。うちは、ふつうの家庭ではないもの……」 私の心が原因? 2013年春、私は体調を崩して出血し、病院に行くと、数年前からあった子宮筋腫が、かなりの確率でがん化している疑いがあると診断されました。 幸福の科学で、「子宮の病気は、夫婦や親子関係の葛藤が原因であることが多い」と学んでいた私は、「私の心が原因だ。今度こそ、父とのことをしっかり反省したい!」と、強く思いました。 ちょうど転職を考えていた私は、思い切って休職し、北海道正心館で雲水修行※をしながら、心を深める決意をしたのです。 北海道正心館の職員は、「すぐに感謝できなくても、『自分を見捨てずに、育ててくれた』だけでもいいので、毎日、お父さんのことを思い出すようにしてください」と、アドバイスしてくれました。 その通りに実践していくと、「忙しいなか、お風呂に入れてくれた」「お弁当を詰めてくれた」など、父にしてもらったことが、少しずつではありましたが、心に浮かぶようになりました。 ※雲水:人生の一時期、精舎に住み込み、世俗からいったん離れて、作務や座禅などの修行に打ち込む修行のことです。自らの心を見つめて、高い精神性を築くことを目指します。これは、在家の会員信者に開かれた「宗教的自己研鑽の道」でもあります。 無言で土下座した父 講師のアドバイスに従って毎日反省を続けていると、いろいろなことが思い出されました。 中学2年生のとき、転校する前の学校で、私が親友を殴り、大怪我を負わせてしまったときのことです。私は些細なことから彼女を殴ってしまったのです。 父に伴われ、自宅に謝罪にいくと、彼女の父親は、すごい剣幕で怒りをぶつけてきました。 すると、父は黙って額を地面に押しつけ、土下座したのです。 私は、帰宅したら、父にめった打ちにされると覚悟しました。けれど、父は殴るどころか何も言いませんでした。 引っ越しが決まったのは、その事件の直後。仕事のこともあったのでしょうが、父は、私が同じ学校に通い続けるのを不憫に思い、転校させてくれたのでは……。そう気づいたのです。 「あのとき、父は何も言わなかった。けれど、本当は、こんなにも私のことを思ってくれていたんだ!」 私は望まれて生まれてきた! そして、数週間後。私は、満を持して、再び「両親に対する反省と感謝」の研修を受けました。 礼拝堂で心を鎮めていると、ある情景が鮮明に心に蘇りました。 それは、私が保育園のころのことでした。 当時、ホテルで料理人をしていた父は、保育園が休みの日には、私を連れて仕事にいっていました。その日、私は、ホテルの庭を散歩したり、湖の白鳥を見たりして、父を待っていました。 そこへ父が、焼き上がったばかりのチキンレッグを、私に持ってきてくれたのです。 「おいしい!」 一口食べた私は、満面の笑みで父を見上げています。私は本当に嬉しくて、食べきれないチキンレッグを、ずっと手に持って離しませんでした。その姿を見ている嬉しそうな父の笑顔……。 熱い思いが込み上げ、涙がこぼれました。 さらに、父の顔を心に思い浮かべていると、その横に、母らしき女性の顔が浮かんできました。母らしきその女性と若き日の父は、生まれたばかりの私を見つめ、微笑んでいます。 「お母さんだ!」 私は、写真でも見たことのない母の顔を、はっきりと心のなかで見たのです。仏の慈悲によって見せていただいたのだと思いました。 「私は誰にも望まれずに生まれた子。私は要らない子。ずっとそう思ってきた。でも、私は、父と母に望まれて生まれてきたんだ!」 ありがたくて、嬉しくて、涙が、あとから、あとからあふれました。 明るい未来を心に描いて 父への感謝が深まるにつれ、父を責める思いがうそのように消え、何ともいえない、しあわせな気持ちが心に広がっていきました。 心配していた子宮筋腫も、7月に診察を受けると、がんではないと、はっきり診断されました。 雲水修行を通して、たくさんの心の気づきもいただき、いつも、どこか寂しく重苦しかった私の心が、毎日毎日、軽くなるのを感じています。男性に対する恐怖心も、すっかりなくなりました。 そして何よりも、自分の未来を悲観的にしか考えられなかった私が、「未来は明るい」と、心から信じることができるようになったのです。 書籍『未来の法』に説かれている、「思いの力で未来は拓ける」ということを実体験したからです。 私は、次に父に会ったら、心から、「ありがとう」を言いたい。 弟とも必ず再会して、この真実の教えを伝えたい――。 私の心を覆い苦しめ続けた、父への憎しみという巨大な黒い雲。私はそれを、幸福の科学の教えによって、感謝に変えることができました。教えがなければ、私は今でも父を憎み続けていたと思います。 私は今後も精進を続け、自分の心に起きた、この「奇跡」を、多くの人に伝えていきたいと思います。 この記事は、人生の悩みが解ける体験誌「ザ・伝道」第200号(原題:「親子の葛藤をのりこえて」)に掲載されている内容です。もっと体験談を読み、悩み解決のヒントを得たい方は、全国の幸福の科学の支部・精舎にお問い合わせください。 変化したことは?,機関誌,親子関係,隔月「ザ・伝道」,雲水 関連リンク 機関誌「ザ・伝道」 『未来の法―新たなる地球世紀へ―』 精舎 こちらも合わせてどうぞ 入会案内 同じテーマの記事 愛によるコミュニケーション 2017.03.18 こんにちは。 私は、ベロニカ・ウィリアムスと申します。アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコから参りました。よろしくお願いいたします。今日は、コミュニケーションについて、話したいと思います。それは、世の中で、大切なこ… 続きを読む 同じテーマの記事 主エル・カンターレからの光と慈悲 2017.03.18 みなさん、こんにちは。 はじめまして、リンです。どうぞよろしくお願いします。私は、インド系のタイ人です。10月に王様が崩御されました。今日は王様への感謝もこめてスピーチをします。 私は小さい時から、守護霊がいることや、霊… 続きを読む 同じテーマの記事 生きている神さま、主エル・カンターレと同じ時代に生きられる奇跡 2017.03.18 みなさん、こんにちは。ビンセントと申します。西アフリカのベナンから今年の4月、日本にまいりました。ベナンは赤道と、北回帰線の間にあります。 私は6歳のころから、「日本へ来てください」という夢をよく見ていました。でもどうし… 続きを読む 同じテーマの記事 疑問の世界から、答えの世界へ 2017.03.18 こんにちは、私の名前は、ホセ・トニー・ゴンザレスです。ニューヨークから来ました。 今日は、皆さんに私の心の旅の話をしたいと思います。私がこれまで宗教に対してもっていた疑問と、その結果についてのお話です。 私は’… 続きを読む 同じテーマの記事 「いい人なら、入信できる」――“夫の宗教”に入信した私が思ったこと 2016.10.06 Oさん(40代・女性・東京都) 信仰を持って、自分が自由になった 結婚から10年、私は、夫が学生時代から信仰している宗教「幸福の科学」から距離を取り続けていました。主人が信仰するぶんにはよくても、自分が宗教に所属することは考えられなかったのです。しかし… 続きを読む 同じテーマの記事 講演会をきっかけに宗教への警戒心が解けました――ネット入会者の声 2016.08.26 Iさん(30代・男性・東京都) 「宗教」への警戒心 宗教と言うと、何か買わされるのではないか、強い勧誘があるのではないかという警戒心がある方も多いのではないでしょうか。実際、私がそうでした。幸福の科学の書籍を数十冊読んでいて、大川総裁を尊敬する気持ちは… 続きを読む 同じテーマの記事 幸福の科学とはつながっていたいと思った――ネット入会者の声 2016.07.05 S.Hさん(男性) きっかけは「天使のモーニングコール」 僕が幸福の科学と出会ったきっかけは、天使のモーニングコール(幸福の科学のラジオ番組)を聴いていたことでした。地元の商店街に幸福の科学の支部があって、あるとき、支部のイベントに参加して… 続きを読む 同じテーマの記事 私の仕事人生を劇的に変えた「10冊の本」 2016.06.17 M.Tさん(50代・男性・埼玉県) 28年前、幸福の科学の会員に 私が幸福の科学の会員になったのは28年前で、29歳のときでした。幸福の科学がスタートして3年目の時で、まず幸福の科学の月刊誌を読む「誌友会員」になり、そのあと規定冊数の10冊の本を読んでリポ… 続きを読む 同じテーマの記事 原因は家庭不和だった。度重なる子供のトラブルが解決 2016.03.22 Kが起こしたトラブル 私にはM(小6)とK(小4)の2人の子どもがいます。 Kが1年生の2学期のことです。ある日、何だか落ち込んだような顔をして、学校から帰ってきました。 その時、電話が鳴りました。 「今日、Kくんがお友… 続きを読む 同じテーマの記事 心のコントロールでパニック障害を克服! 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