「時間厳守」の価値観を変えたら、息子に自主性が生まれた! 2014.10.03 Kさん(30代・女性) Tweet この記事は毎月発刊の機関誌月刊「ヘルメス・エンゼルズ」第151号より転載し、編集を加えたものです。 時間にルーズな息子 以前の私は、一人息子のTを、毎日のように叱っていました。 「○○君のうちに遊びに行ってくる」 「何時にお約束してるの?」 「……3時」 「えっ。もう3時過ぎてるわよ!時間に遅れて人に迷惑かけちゃいけないって、いつも言ってるでしょ!」 こんなふうに、私がTに約束の時間を聞いてみると、すでにその時間が過ぎていることが度々でした。将来社会に出ても困らないように、「時間を守れる子」に育てたいと思っているのに、時間にルーズな面がなかなか治らないのです。 「時間厳守」だった自分 「早く朝ごはん食べなさい!遅刻よ!」 毎朝、学校に行くのにも、Tはいつまでものんびりしていて、学校の始業時間にはとても間に合いません。私がいつも時間を気にしていなければ、毎日が遅刻という状態です。 私自身は、子どもの頃から、時間に几帳面な性格でした。時間を守ることは、社会人として最低限のルール。そう思って大人になり、私は社会に出ても常に「時間厳守」でした。おかげで上司からも信頼されていました。 だからこそ、時間にだらしないTを見ていると、つい許せなくなり、イライラしてしまうのです。それでも、Tが1年生のうちは、「まだ1年生だから仕方ないか」とも思っていました。 ところが、いくら注意しても治らないまま、1年が過ぎてしまったのです。 「このままでは、この子は社会に出て困ることになってしまう」と、不安が募っていきました。 「私の育て方が甘いせい」 私は「子どもの生活態度はすべて親の教育の表れ」と考えていました。そのため、「Tが変わらないのは、私の育て方が甘いせいだ」と思い込み、さらに厳しくTをしつけることにしたのです。 「何回言ったらわかるの!」感情的に怒ることが増えていきました。 でも、どんなに強く叱っても、Tに変化は見られません。そればかりか、陽気でおしゃべりだったTは、次第に言葉数が減っていき、私に叱られる度に、ただ黙って泣くようになりました。 べそをかいているTを見ていると、「時間のしつけができないばかりか、子どもを萎縮させている……」と、親として情けなくて苦しくて、自分を責める日が続きました。 「このままでは、Tは立派な大人になれないのでは」という心配もふくらみ、不安で押しつぶされそうな毎日でした。 子育ての指針となった法話 そんな私に転機が訪れたのは、幸福の科学総裁・大川隆法先生の「心の成熟について」という法話を聴いたことでした。 大川先生は、会場に集まった大勢の人たちを前に、優しく、分かりやすく、時にユーモアも交えながら、悩み解決のための心の持ち方をお説きくださいました。そして、次のような例え話をされました。 「時間ばかり気にしている母親は、子どもが時間通りに動かないと、他にいいところがいくらあっても許せません」「自分の生き方で子どもを裁こうとして、多様な価値観を受け入れられないのです」「親が『子は親にないものを持っている』と考えると、子どもの態度も変わってくることがあります」 まるで一対一でアドバイスをくださっているのかと思うほど、私にピッタリ当てはまる内容でした。 私は、「時間を守る」という価値観だけで子どもを見ていて、他の長所に目を向けていなかったのです。「自分が『時間厳守』で社会に出て評価され、自信を持っていたから、こだわっていたのね。Tのいいところを全然見ようとしないで、いつも怒って、怖い顔ばかりしてた。本当にゴメンね」――お話を聞きながらも、Tに申し訳なく思う気持ちが、胸にこみ上げました。 Tにはすばらしい長所がある それからというもの、私は、Tを見ていてイライラし始めると、大川先生の説法を思い出し、心を落ち着かせる努力をしました。 感情的な言葉が出そうになると、まず口に出さないようにして、心の中で「私の偏った価値観で裁こうとしていないか」と自分に問いかけたのです。 さらに、「Tの長所を見つけよう。大川先生のお話の通り、親にないものを持っているはず」と考えていきました。そうするうち、以前、担任の先生が言ってくれた言葉を思い出しました。 「Tくんはみんなに優しくて、たくさんの子と仲良くしていますよ。協調性がありますね」 先生にそう言われた時、「でも、Tは時間にだらしないし……」と、私はその褒め言葉を心の中で否定していたのです。 また、こんな光景も思い出されました。ある日、親戚一家が家に来た時のこと。Tと小学生の従兄たちは楽しそうに遊んでいましたが、その陰で、小さい子がポツンと独りでさみしそうにしていました。Tは、その子を見つけると、すぐに駆け寄って話しかけ、ふたりで遊び始めたのです。 Tは、人の気持ちがわかる、優しい心を持っていたのです。それはすばらしい長所でした。 気持ちに余裕が持てたら子どもが輝き始めた Tの長所を実感できると、Tの時間のルーズさも、「この年齢の子なら、よくあることかもしれない」と寛容に受け止められるようになりました。「時間厳守」も、肩の力を抜き、「少しずつできるようになればいい」と考えを変えました。 叱る回数が減り、Tも以前のように陽気で快活になり、よくしゃべるようになってきました。 さらに、私は、思い切ってパートに出ることにしました。思えば、これまでの私は、一人っ子ということもあって、気持ちが「子どもべったり」になり過ぎていたのかもしれません。子どもとも少し距離を置いて、自分も外の世界を見た方がいいと思ったのです。 「お母さん、少し働こうと思うの。5時には帰ってくるから、それまでに宿題をしておくのよ」 私が働き始めてしばらくすると、Tはびっくりするほど変わっていきました。仕事から帰る私に、Tは「お母さん。今日は友だちと遊んだけど、時間を守ったよ。今日は宿題まで済ませたよ」と言うのです。朝の支度も、私に言われなくても前の晩には自分で済ませ、私が細かく注意しなくても学校に間に合うよう登校していきます。 夏には、一人で初めて岡山の祖父母の家に2週間もお泊まりに行きました。祖父母からは、「毎日、午前中には勉強もしていたよ。毎朝早くに起きて、夜も、毎晩9時には寝ているよ」と聞きました。 以前は、ガミガミ叱っていないと時間を守れなかったT。私が自分の価値観のみ押し付けるのをやめ、Tの長所を実感していくことで、自主性が育まれたのだと思います。 この記事は、毎月発刊の機関誌月刊「ヘルメス・エンゼルズ」第151号より転載し、編集を加えたものです。 教育・子育て,月刊「ヘルメス・エンゼルス」 関連リンク 幸福の科学機関誌 「ヘルメス・エンゼルズ」 『じょうずな個性の伸ばし方―お母さんの子育てバイブル 』 同じテーマの記事 中学受験を控えた娘が勉強しない! 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