舌ガンになった夫――ガンの原因は食べ物だと思っていたのに 2015.07.25 Mさん(50代・女性) Tweet この記事は隔月発刊の機関誌「ザ・伝道」第126号より転載し、編集を加えたものです。 夫が舌ガンに 「舌ガンだそうだ……すぐ手術しなければいけないらしい」 「口内炎じゃなかったの!?」 病院から帰宅した夫の報告に、私は呆然としてしまいました。 「熱が出ておかしいとは思ってたけど、まさかガンだなんて……」 しかも第 III 期で、医師の説明によると、かなり進行しているとのことでした。 手術が成功したとしても、普通に食事したり、話したりできなくなるといいます。 夫は、自分の身に起こった現実を静かに受けとめているようでしたが、私はパニック状態でした。 つい最悪のことを考えて、目の前が真っ暗になりました。 夫が行きたがっていた幸福の科学へ 夫は会社に病状を連絡したあと、落ち着いた様子で私に話しかけてきました。 「僕が、以前から幸福の科学の本を読んでるのは知っているよね。この機会に支部に行って、入会したいんだ」 一瞬、私は戸惑いました。 これまで、「宗教って変な人の集まりだ」というイメージが強くあり、10年間、反対し続けていたからです。 「なんでこんな本ばっかり読むの!」 「読みたいんだから、いいじゃないか!」 こうした口ゲンカもたびたびでした。 家で幸福の科学の本や雑誌を見つけると、「私に内緒でまた……」と腹立たしくてなりませんでした。 しかし、この期に及んで反対するのは、いくらなんでも忍びない気持ちでした。それに、夫のことを分かりたいという思いもあります。 「おとうさんがそうしたいのなら、反対しません。そのかわり、私も幸福の科学についていってもいいですか?」 「……そうか。ありがとう」 ガンは食べ物に原因があると思っていたけれど 数日後、近くの幸福の科学の支部を訪ねてみました。 扉を開けると、思いのほか静かな空間が広がっていました。 「どうされましたか?」 緊張気味の私たちに、支部長が優しくお話ししてくださいました。 誠実そうな人で、ホッと一安心しました。 「Mさん、毎日の心の状態が病気を作ったり、引き寄せたりもするんです。病気は心が深く関係しているんですよ」 支部長のお話は、とても新鮮でした。 心に葛藤があったり、悲観的な考え方をしているとガンになりやすいので、心の点検をしてみたらどうかというのです。 私は“ガンは食べ物に原因がある”と、ずっと思い込んでいました。 だから食材は必ず厳選して、無添加にこだわってきました。ガンにならないというサプリメントまで夫婦で飲んでいたぐらいです。 「それなのに、どうしてガンになったの?」と疑問に思っていました。 支部長のお話は正しいことのような気がして、私もここで学んでみようかなと思いました。 「あのー、私も夫と一緒に入ってもいいですか?」 ポカンとした夫の顔。ムリもありません。ずっと反対していたのですから……。 その日、夫と共に、私は幸福の科学に入信しました。 総本山に参拝して舌の腫れがひきはじめた こうして幸福の科学に入った私は、夫が入院するまでの1週間、二人で毎日のように支部に通いました。 先輩信者のみなさんとおしゃべりしたり、信仰のお話を聞いたりして過ごしました。 そして夫の願いで、宇都宮にある総本山・正心館に初参拝しました。 礼拝室でお祈りを捧げると、全身があたたかいもので包まれるようでした。 「これからは、仏への信仰をもとにして人生を送れるんだな」 夫は心から安堵した様子です。 そんななか、夫が「おやっ?」というような顔をしました。 「不思議だなぁ。体がポカポカして患部が癒えてくるんだよ。舌の腫れが少しずつ小さくなってきたみたいだ」 明らかに病状が違うそうです。 不思議なことがあるものだと思いました。 夫の病気は私の人生の問題集 いよいよ入院──。 まず放射線での治療をお願いしました。効果が見られない場合は手術を受ける約束でした。 病院まで高速バスを使って片道3時間かかります。私は仕事を辞めて、病院に通うことにしました。 顔を見ると、夫もホッとするようです。 放射線の副作用で体は苦しいはずですが、表情はとてもおだやかでした。 病室では幸福の科学の本を読み、大川隆法先生の御法話テープやCDを聴いて過ごしています。 そんな夫の姿を見て、このとき初めて「私も読んでみようかな……」と、ふと思いました。 幸福の科学の書籍がぎっしり詰まっているわが家の本棚。しかし、私は本を開いたことがありませんでした。 私はそこから一冊ずつ取り出して、自宅や病院への行き帰りのバスの中で読むようになったのです。 あるとき、「人生は一冊の問題集」という言葉が目に飛び込んできました。 地上の人生では、その人に必要な問題が必ず与えられること。それを解かなければ魂の成長はないこと──。 ドキッとしました。 今の私の問題は夫の病気だと直感し、逃げてはならないとわかりました。 私もこの機会に、夫との関係をきちんと振り返ってみたいと思いました。 私が夫にしてあげられたことが思いつかない 支部で職員の方とお話ししている時、こんなアドバイスをいただきました。 「『与える愛』の反省をするといいですよ。ご主人から与えられたことと、ご主人に与えたことを比べてみてはどうですか」 愛の貸借対照表というのだそうです。家に帰って、さっそく書き出してみました。 私も子供も何不自由なく暮らしてきた……。この家を買えたのも夫が何十年も働いてくれてたから……。 見わたせば、コップ一つ、スリッパ一足、家の中にあるもの全部が、夫が健康で働いてくれていたおかげでした。 「すべて当たり前と思ってたけど、そうじゃなかったんだわ」 また、私はお稽古ごとが好きで次々に習っていました。どんなにお金がかかっても、私が外出しがちでも、夫は「あぁ、いいよ」と快く許してくれていました。 人間関係が苦手な私は、職場でなかなかうまくいかず、職場のグチを毎日毎日夫に浴びせていたのです。夫はいやな顔一つせずに、聞いてくれていました。 いままでどんなに恵まれていたことでしょう。結婚以来、夫が大らかな気持ちで私を包んでくれていたと分かったのです。 それなのに、私がしてあげたものは出てきません。 浮かぶのは、浪費癖のある私、グチばかり言っている私の姿でした。 「これじゃいけない!」と、涙がボロボロこぼれてきました。 きっと夫は、私にも、「人生は一冊の問題集」や「与える愛」などの教えを伝えたかったに違いありません。 けれども私は、十年間、まったく聞く耳を持ちませんでした。 夫の心情を理解することなく、反対してきた自分が情けなくなりました。 夫の抱えていた人生の問題集 「おとうさん、本当にありがとう。一生懸命に働いてくれたから、いまの生活があると感謝しています」 私の気持ちを伝えると、夫は「うん、うん……」と、照れくさそうに頷いています。 そして心から謝りました。 「それから……おとうさんの体調が悪くなったのは、私のせいかもしれない」 ところが夫の口から出てきたのは意外な言葉でした。 「いや、これは自分に与えられた問題集なんだから、心配しなくていいよ」 初めて支部を訪れた日から、何かもの思いにふけっているようだった夫。 ある時、ポツリと話してくれました。 「僕は……ずいぶん上司を非難してたんだ。『あんなやり方は違う』とか、『人間の心が分からない人だ』とかね」 そして、若い頃からの自分の批判癖について打ち明けてくれました。 プライドが高かった夫は、実力の乏しい目上の方を見ると、自分のほうができると批判していたのだそうです。 「……口からいつも出ていた以上、僕は心が病んでいたと思う。この傾向性を直すよう努力するよ」 夫の目がうるんでいました。 長年連れ添っていながら、夫婦でこんな話をしたことはありませんでした。 それからは、夫といろんなことを語り合うようになりました。 入院中、それぞれが反省の時を持った私たち。互いに人生をもう一度やり直そうと決意できたありがたい時間でした。 私たちは、幸福の科学に集えた喜びと感謝の気持ちを込めて、夫の「強力・病気平癒祈願」をお願いしました。 手術が必要なくなって退院 入院中、幸福の科学のみなさんには本当に支えていただきました。 「ご主人に読んでもらって」と病気治癒に関係した文章をコピーしてくださった方、お祈りをしてくださった方、遠くまでお見舞いにきてくださった方──。 ほかにも、心のこもったお手紙を何通もいただきました。 多くの愛に包まれて、私たちはどんなに心強かったことでしょう。 2カ月後、夫は無事、退院の運びとなりました。 主治医の先生は、「腫瘍がなくなってますよ。手術は必要なくなりました」と驚いていました。 あとは定期検診だけでいいと言われました。 1カ月の自宅療養の後、夫は元の職場に復帰できることに。 支部ではみなさんがあたたかい拍手で迎えてくださいました。 再び幸福の科学に集える喜びで、夫の顔は輝いていました。 「たとえこの身、不治の病におかされようとも」 しばらくして、夫は地域のまとめ役をさせていただくようになりました。 私も夫と共に、支部行事や精舎研修に参加するようになりました。 夫婦が同じ目線で、同じ方向に向かって歩むことの素晴らしさをかみしめる日々──。 映画「黄金の法」のなかにあった僧・天台智顗が「もしも、永遠の仏陀と共に生まれることが許されるのなら、たとえこの身、不治の病におかされようとも、生涯を感謝の念いで生き抜くであろう」仏への熱い念いを語るシーンを観たときには、隣で夫が、ガンに罹った自分の姿と重ね合わせているのか、あふれる涙で頬が濡れていました。 私も胸が熱くなりました。 「仏が生まれている今の時代に一緒に生まれられて、私たち幸せよね」 「本当にそうだな……」 二人でしみじみ語り合いました。 ガンが完治し、定期検診も終わりに ガン発覚からちょうど5年になります。定期検診から戻った夫から、うれしい知らせがありました。 「ガンは完治したそうだよ。もう検査に来なくていいと言われた」 感慨深げな夫。この五年間のいろいろな出来事を静かに振り返っているようでした。 二人で新しいスタートラインに立った──そんな気持ちでした。 いま私たちは喜びと希望でいっぱいです。 夫は仕事のかたわら、幸福の科学の活動や町内のお世話役をして、充実した毎日を送っています。 一方、私は、自宅を改装して無添加パンのお店を開いています。 私もこれからの人生を人のお役に立って生きたい……それには趣味のパン作りが活かせるのではと思ったからです。 最近はパンを仲立ちにして、人びとが集う場になっています。 コーラス、生け花、わらじ作り──趣味の会で使ってくださる方もいて、お店はワイワイガヤガヤ賑やかです。 もし入信していなかったら、このようなことは全然考えなかったと思います。 はじめは信仰に反対していた私。けれども夫の病気をきっかけに入信したことで、新しい人生を開くことができました。 病気が治ったことに加えて、信仰の素晴らしさや人のあたたかさなど、この体験を通して多くのものを与えていただいたと思っています。 人生は一冊の問題集──。 これからも夫婦で協力し合い、精進してまいります。 この記事は隔月発刊の機関誌「ザ・伝道」第126号より転載し、編集を加えたものです。 夫婦・結婚,病気・事故,祈願,隔月「ザ・伝道」 同じテーマの記事 「いい人なら、入信できる」――“夫の宗教”に入信した私が思ったこと 2016.10.06 Oさん(40代・女性・東京都) 信仰を持って、自分が自由になった 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